色の処理の基本(瞳)

色を見る仕組みとユニバーサルデザイン

色は、色というそのものが存在する訳ではなく、
物体が跳ね返す光の波長(人間の可視光線は400nm〜700nmの電磁波)を瞳の光受容体が感知し、
脳で変換した『主観的』な現象であるというのは学校で習ったかもしれない。習った・・・ような気がする。
光の波長図

それから色には、「色相=波長の長さ」「彩度=色の輝度」「明度=色の濁度」という属性がありますが、
この辺はもうphotoshopとかいじってみるとわかりますね。
これはもう他のサイトとかでもググるとでてくるので、図等は割愛。
色彩検定とかやると数値とかまで覚えさせられるらしいですが。
これが、色そのものの方の基本。

ここでも、重要なのは、色は個人の脳の中で『主観的』に生成されるものであるということ。
要するに、色の認識にも、脳側の機能と瞳側の機能がある訳だけれど、
まずここでは単純に瞳側の機能に付随しておこる差異を重点的に説明しておく。
(もちろん病気や事故等による脳側の機能の問題で色を認識できなくなることもあるが、
先天的、遺伝的におこる瞳側の機能の問題による差異よりはまれである。)

色は形よりも個人差が大きいと述べたが、その意味でも、
色弱、色盲対応という意味でのユニバーサルデザインはデザイナーが必ず意識していなければいけない事。

色の体験に個人差が大きい理由は、まず、人種の差がある。
それと環境(光線の具合が変われば当然認識できる色は変わる)の差がある。
ものすごくざっくりとした説明で乱暴だけれども、
寒い国の人はシアートーンを好み、熱い国の人はビビットトーンを好む傾向がある。
これは、人種的な差もあるし(瞳の色が薄い程シアートーンに敏感になり、濃い程ビビットトーンに敏感になるという説)、
環境的な差もあるだろう(熱い国=赤道に近い程光線の具合が原色寄りになる)。

これと別に認識できる色に個人差がある理由は、瞳が色を認識するシステムに多くの細胞と遺伝子が関わっているという理由がある。
人間の瞳には2つの光受容体がある。錐体と、桿体。
錐体は明るいところで反応する細胞で、
青(B)=短波長、緑(G)=中波長、赤(R)=長波長のそれぞれの波長に反応する3種類がある。
桿体は暗いところで反応する細胞で、1種類。これは光量(波幅)に反応する。
波長には反応しないので、色を識別することは、できない。
瞳の受容体
色は波長だから、認識するのには波長に反応する受容体が必要で、これが錐体に当たる。
(暗いところで色を認識しにくいのは錐体の働きがおちるため。光量に反応する桿体が優勢となり、濃淡しか分からなくなる。
ちなみに錐体の中でもL錐体はより暗いところでの感度が落ち、S錐体の方の感度が相対的に伸びる。
したがって暗いところでは赤より青の方が見分けやすいという感度のずれが生じる。)
錐体は最低でも2種類以上ないと、色を知覚できないとされていて、普通の人間は3種類持っている。

まれに先天的にこれらの錐体を1つか2つ、ないしは全く持っていない場合がある。
そういった色盲のほとんどが、R反応のL錐体もしくはG反応のM錐体をもたない赤緑色盲だとされるが、
その理由は、R反応のL錐体とG反応のM錐体の遺伝子はX染色体上で隣接して存在している上に、
アミノ酸の構成がよく似ているために遺伝子のコピー時にエラーがおこりやすいためである。
B反応のS錐体を持たない青色盲はこれに比べると非常にまれ。

ちなみにX染色体は性染色体で、女性は2本持つため2本ともにエラーがおこらない限り異常が現れることはないが、
男性はX染色体を1本しか持たないため赤緑色盲は男性に多い。(この辺りの詳しいことは遺伝子の本を読むといいよ!)

実際に色盲の人がどのように見えるのかを知るためのフォトショップのプラグインがあるので、
デザイナーの人はぜひこれを活用してほしい。プラグインの使い方はこちらで。

瞳に入力された情報はどうなる?