またも若い犯罪者の物語
「空白の叫び」

ワールドカップがあるせいであまり最近本を読んでません。

が、まあ、基本何か読む本がないと死んじゃうタイプなので(やっかい)

ちょびちょびとは読んでいますが。

これまた予備知識なく手にとったら、

「告白」同様14歳の少年たちの犯罪の物語だったと言うこちら。

なんだよ、この連鎖。やな連鎖だなw




長いけど、面白い。「告白」よりだいぶ重く、凄惨なお話。

いやあ、神野くんがねえ、スゴイよ。

私なんか世の中に歪んだ偏見があるからw、

『普通の良い子コワイ。マジコワイ。』としたり顔に震えればいい展開で満足だけど

これは、すさまじく絶望感のあるキャラだね。

なんという存在の耐えられない軽さ!しかも本人無自覚!っていう凄さ。

彼の本質は最初から最後まで変わらない(と私は思った)のに、

それがどんどん悪い方向に行く。歯止めがない。

彼にとっての社会はずっと外にあって、自分がないから。

良いことも悪いことも、彼自身の存在には関係なく、外にある。

だから無自覚に、無反省にどんどん転がる。悩むことも、ない。

ひたすらに表層で生きる、その軽さに、凄みと重さがあるという怖いタイプ。


それに比べたら葛城くんと久遠くんの鬱屈のわかりやすさよ。

葛城くんとか相当好みなんですけれども。頭がいいのはやっぱり最強よね。

あ、でも一番好みなのは水嶋くんですよ。ミスター女衒。

・・ほんと私の好みは一貫してるな。我ながら感動する。


少年犯罪と、その更正と、その贖罪についてのテーマだろうから、

犯罪者に対して好みがどうのっていう話をするのも、

人によっては不謹慎なんだろうけど、

私にとって物語を読むっていうのはそういうものだから、仕方ない。

それは「だって所詮フィクション(での犯罪者)じゃん?」ていう

冷めた気持ちとは実は真反対にあるのだが。

ま、そんなことはいいや。


あとあれだ、柏木女史がもう、鳥肌たつくらい個人的には

嫌いな(怖い)タイプだったので出てくるともう、嫌でしょうがなかった。

久遠くんみたいなタイプならそりゃ殺すよね!って

思ってしまった自分も、いかがなものか。とは思うけど。




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3件のコメント ー “またも若い犯罪者の物語
「空白の叫び」”

  • まあ の投稿:

    なんかさ、自分の子供が成長するにしたがってそんな感じの
    本や映画が怖いよー。
    重ねちゃうっつーか。
    ちょっと系統違うかもだけどこの間「リリィ・シュシュのすべて」を見たのさ。
    なんか凹むよ。
    画も派手じゃない分リアル感もありつつで。
    10代に見てたら全く違う印象だっただろーなと思いつつ。
    見た?

    • nanamaru の投稿:

      んー。個人的には犯罪者には2通りあるんじゃないかと思ってて、
      ひとつは脳の欠陥。感情、情緒を感じなかったり、常人と違うルールがあったり。
      これは病気だから、正直なところ親がどうとか更正がどうとか
      議論しても仕方のない問題だと個人的には思ってる。
      もうひとつが運と環境が悪かった(もちろん運が悪いのは自分が悪いっていうのはあるけど)てやつ。
      これはー、うーん、コメントが難しいけれどー、
      私にしたら犯罪の責任を親に負わせるのは酷だなと思うよ。
      きちんと躾けたつもりでいたって人間なんてどこかで想像を超えてくるものだものね。
      まあ、虐待の連鎖の問題とかあるけども・・。

      子供がいない私が言うのはなんだか無責任ぽく聞こえるかもだけど、
      自分の子供がとんでもない人間になったらどうしようっていう恐怖はもう、
      ぶっちゃけ最終的には子供と自分を信じるしかない問題。
      でもたしかに、そういう題材の話、気軽には見聞きできなくなるよねー。
      なんか本や映画は本当に見るタイミングで全く違う感想を持つよね!

      リリィ・シュシュ、みてない。
      え、あれってそういう話なの?wもっとこう、メルヘンな話かとw

  • まあ の投稿:

    犯罪なんて結局タイミングみたいなとこもあるから
    一概にどーこー言えないんだけどね、
    感情の欠落も運の悪さも含めて。

    どんな親も悪く育てるつもりはないんだろうし、
    信じるのも大事だけどね~、実際怖いっす(笑)

    おぉ、見てないなら見てみーよ「リリィ・・・」。
    映像は奇麗だったりするし、不幸のてんこ盛りである意味メルヘン?っつーか寓話?・・・と思いたい(笑)
    面白いかどうかはまた別の話だけど、
    なんか意外とありそーで凹む。

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