憤りとロマン「永遠の0 -ゼロ-」

うん、前にも言ったよね…。オイラ、戦争ものって苦手なんだ。

映画よりはまだ、ましかなーとおもうけど、本でも苦手ジャンルなんだ。

でね、これもまた、本屋でノリで買ってみたらわりとガッツリ戦争のお話だったんだ。


永遠の0

ところが、またこれが、ずんずん読んでしまう面白さでございました。


主題は、戦時中の海軍では非常に希有な存在だった(いろんな意味で)

ある男性の戦いの日々を、その孫(現代っ子)が当時の戦友たちを訪ね歩いて

つまびらかにするって言う流れで書かれていて、

それはまあ、非常に崇高な魂に関する話で涙する主題なわけですが、

とりあえずそれはまあいい、おいといて(え)。

(だって、いつの時代も、どこの場所でも、市井にすばらしい人物はいるものだから。

まあ、圧倒的に普通のつまらない人間の方が多いにしても。)


私も日本人のくせにあまりちゃんと戦争の細かい経緯を知らないので、

ここに書かれていること、戦いの経緯とかが正確なのかどうかわからない。

わからないけれど、もうね。まずひとつは、ものすごく腹が立つ。

なにがって、人間を使い捨てにするお上の姿勢が徹底的に書いてあるの。

兵士は、特に下級の兵士は、使い捨て。死んだら補充すればいいと思ってる。

戦争はね、よかないけど、仕方ない。だけどね、戦い方が酷すぎる。

そりゃ、負けるよって思った。むしろ負けろって思った。

人材は国家の一番の財産で、若者は国家の一番の希望であるべきなのに、

資源はケチるくせして、ちっとも人間のことを考えない。そんな国、負けて当たり前だ。

兵士たちが誰のために戦って、誰のために死ぬのかを必死で考えて、苦悩して、

それぞれがそれぞれの答えを見つけて、必死(文字通り必死)で戦う姿の一方で、

上層部のお偉いさんたちも命を顧みず果敢に戦うならともかく

(むろん、そういう方立派な方もいたとは思いますが)これがまた驚きのヘタレっぷり。

成果を上げることより失敗責任を恐れた結果、じり貧になる。


…あれ?なんか最近も某企業とか某政府とかこういうの良く感じるけど?…ま、まあいい。


とにかくそういう当時の軍上層部の姿が描かれていて、それが本当に本当に、腹が立つ。

こちらのブログ様からこの小説にも出てくる零戦が見られるけれど、

たしかに驚くほどの防御力のなさ。操縦席、何じゃそりゃっていうくらい装甲薄い。風防、うすっ。

この本を読んでもう一度上記ブログ様でしげしげと零戦を見て、初めて実感したけれど。

(ちなみに上記のブログ様の他の記事で他国の戦闘機もちらほら見れます)

零戦は非常に戦闘力に優れていたけれど、防御は紙なんですって。うーん…。


と、マジメ(?)に憤る私が片方。もう片方は、戦闘機乗りって特殊なんだなー。という感想。

「スカイ・クロラ」(こちらは架空の世界の架空の戦争のお話)を読んだ時に感じたような、

戦闘機乗り、空中戦の描写にはやはり独特の緊張感とロマンを感じます。

これ、男の人にはたまんないんだろうな。男の子はみんな戦闘機乗りに憧れたんですって。

死亡率、断トツに高いのに。そういうの、よくわかんね。ぺっ。って言えればいいけど、

ちょっとわかる気がしちゃうなあ。広い空で結局瀬戸際で頼れるのは自分だけで、

戦いも自分の技量ひとつで、敵と正面からやり合うって言う感じがいいんでしょうか。

戦後、零戦乗りとアメリカの戦闘機乗り(実際に戦った方々の生き残り)が

顔を合わせる機会があって、そのとき非常にお互いをたたえ合う

いい雰囲気だったと言う話はニュースで聞いたことがあります。

この本にも素晴らしい戦闘機乗りはお互いに認め合う空気があったことが書かれています。

そういうの、そうだろうなあ。ってわかる気がしちゃうんですよね。

なんだろ、アムロとシャア的な…(違)

でもやっぱり、だからって戦うことはやっぱり哀しいことで、

どんな形であれ、戦い合うなんて愚かだと思う女子的思考の自分もいたりして

なかなか感想もすぱっといかない感じ。だから戦争ものはヤなんだ。


わたしの母方のおじいちゃんも戦死しています。私は顔も知らない。

母も覚えていないようです。何軍で、どこでいつ亡くなったのかも知りません。

これまで気にしたこともなかったけれど、これを読むと気になる。

だけどもう、うちの祖父にはどんな戦争があったのか、知ることは出来ません。

そのことに少し、罪の意識を感じました。




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