4月 1 2015

映画耽溺(19)「プリデスティネーション」と「パレードへようこそ」

4月1日ですが、今年度も特に変化もなく迎えておりますがなにか?

ようやっとちょっとヒマになったので、

溜まりに溜まった1〜3月の映画振り返りやります!

本数多いんで2回に分けます。さくさく行きたいけど

まずは長くなりそうなぶっちぎりで面白かった2本だ!


●プリデスティネーション



あまりにも宣伝の弾幕が薄すぎて、ノーマークだったんだけど

Twitterのタイムラインで妙に評判良かったんで行ってみた。

SFで、元ネタがハインラインの「輪廻の蛇」ってことは分かっていたんだけど、

原作全然覚えてなかったのね。読んだの小学生のときですし…。

そもそもハインラインよりディック先生の方が好きですし。おすし。


でもこれすごい、面白かったよ!すごい、面白かったよ!(2回言った)

いえ、多分SF的には突っ込むところもあるんだろうし、

映画的にも突っ込むところはあるんだろうと思うんだ。

でもな、それらすべてをチャラにする、サラ・スヌークちゃん!

そして何を言ってもネタバレになりそうで何も言えない展開!

イーサン・ホークの安定感。

この人はイケメン(イケオジ)なんだと思うんですけど、存在に奇妙な不安定さがありませんか?

ラストの台詞とかなんつーか切ないし、妙な迫力あるし、鳥肌立ったわ。


もうね、なに言ってもネタバレそうでビクビクするけど、

どうしようもなく孤独で、切ないの。

冷静に考えると、え?どういうこと?遺伝子的にはどうなってんの?

(これネタバレギリギリー!)とか混乱するような題材なんだけど、

うまいこと切なく、苦しい物語に映像化されてると思う。

怖いほど孤独。怖いほど切なく、心もとなく、寂しい。

(これもネタバレギリギリー!)


あと、単純にこの監督の美術の感性がわりと好きだし、

(画像のような、訓練風景の衣装とかかわいいし、全体的に様子がいい)

まあ、主演のサラ・スヌークちゃんの魅力よ。見て損なし。




で、ですね、どうもオーストラリアの方っぽいんですが、この監督好きかも?とおもって

未見の「デイブレイカー」も見てみました。

ちなみに監督さんは、ピーター&マイケル・ スピエリッグ兄弟。

Wikipedia先生によると一卵性双生児だそうです。なにそれ、なんかすげえ納得…。


●デイブレイカー



あれ、こちらもイーサン・ホーク先輩主演です。

映画から離れてた2009年作なので、全然知らなかったんですが

吸血鬼ものじゃないですかー!

んーで、ウィレム・デフォーさんが萌えキャラです。頭おかしいけど。

んーで、サム・ニールさんが悪役です。景気良く散る。


こちらも冷静に考えると嘘ー!っていうような設定もりもりなんですけど、

上手くできてると思うー。吸血鬼同士で血吸うとやべえとか。

人間に戻る怪物ってーと「ウォームボディーズ」思い出しますが、

こっちの戻り方はあちらとえらく違って物騒です。

その辺も絡んでなんかえらく景気良く血が飛び散る正しい吸血鬼映画になってます。

ちょいちょい弟くんまわりとか娘まわりとかしんみりした心情があると思いきや、

絵の勢いと(なんかを多分やりすぎてるのか)妙なおかしさで

せっかくの(?)しんみりがぶっ飛ぶという妙な勢いがあります。

でもやっぱり衣装・セットまわりの美術好きです。

(画像は吸血鬼の皆さんの通勤風景。後ろの看板はCapture Humanですよ。素敵。)

この監督兄弟とは仲良くやれそうなので、今後もチェックします。




で、もう一本は全然毛色の違うやつ。ゲイ&レズビアン映画ですが。

4/4から公開です。オススメ。

パレードへようこそ



実話がもと…かな。実話がもとで、イギリスの労働者階級映画、サッチャー政権とくりゃ

なんでか知らんが外れがないんですけど、これも良かったー。

保守とかリベラルとか、頭の柔らかさとか、人間性とか、そういうものって

階級も環境も関係ないものなんだよね、本当に。

どのワールドにも、色んな人がいるの。言葉にすると薄いー!けど。

田舎の炭坑町の炭坑夫とその家族に都会のレズビアン&ゲイの若者が接するって、

ハイハイどうせ、反発しあうんでしょ?っていう予想をいい意味で裏切ってくる。

(もちろん、裏切ってこないところもある)

それがね、ちゃんと納得できる。

どのワールドにも、色んな人がいるのが、真実だから。

どこにでも酷い人はいるけど、ちゃんと素晴らしい人だっている。

そういうところが素晴らしいし、世界に希望を持てる唯一のことだと

私は常々思っているので、いいなあって思いました。人間は愛らしい。

良い映画だと思いますし、あと普通に面白いです。

あっちでもこっちでも、キャラたってるとことか。


英国俳優クラスタ的にはキャストも豪華ですよ!

最愛のビル・ナイおじさんは今回は、口べた(詩の朗読はすらすら行ける)で、

物静かな書記です。今回も大変に最高です(欲目加算済)。

特にこちらも名女優イメルダさんと、二人でサンドイッチつくるとことか

最高すぎる。ああいう関係性、大好物です。泣ける。

イメルダさんといえば、ハリポタのこの人↓のイメージ強すぎてですね。



どうせあれだろ、嫌なおばはんなんだろと反射的に思うわけですが、裏切られましたね。

おばはんの押し出しの強さはそのままに、しかし愛らしい。

あと若者側も素敵な役者さん勢揃いです。


結局事実としては炭坑側は破れたわけなんだけど、でも爽やかな後味の映画。


4半期ではこの2本がとっても印象に残りました。

残りは近日中にまとめて!


12月 8 2014

映画耽溺(18)

かれこれ映画耽溺シリーズが2年近く続いておりますが、

タイトルがそのままで連番とかSEO的にどうなの?

なーんて思ったりもしてはいますが、元々は備忘録だし、

もういいや(鼻ホジ)と思っていつも終了です。


寒くなってきましたね!そして年末ですので、

そろそろ今年のベスト10もやりたいんですけど、

まだホビットの完結編が待ってますからね!

つーわけで、今回も面白かった順ー!


●インターステラー



見ているようであんまり見ていないクリストファー・ノーラン。

インセプションはあんまりでもないけどダークナイトは好きです。

まあでも全体的には個人的には苦手…っていうか味がよくわかんない監督なんです。

ユーモアのセンスがあんまりないしな。あと長い。そしてこれも、長いよー!

なんだけど、これは面白かったー。

世間的なプレビューだと父と娘の絆が〜とか言っておりますし、

まあそれはそれで良いのだけれど、これ、結構ガッツリと正統的なSFなのでね。

(2001年宇宙の旅のノーラン的な焼き直しっていわれてるっぽい)

宇宙・次元クラスタ、ハードSFクラスタはもちろん、

理論で謎を攻めるの大好きタイプ(理解できるかはまた別だ!)とか

あとね、あとね、無機物・AI・ロボ萌えの方は大好きじゃなかろうか。

というわけで多々ある色んな側面の疑問と批評はすっ飛ばして、

ワタクシ、あえてロボ萌えを語りますが、TARSっていう歩く箱がでてきます。

仲間にCASEとKIPPっていう子も出てきます。

箱のくせに動きは超可愛い上に、ちゃんと個性もあります。

カワイイ。欲しい。

実物モックが90kgっていうから実装されたらもっと重そうだけど

ときにちょこちょこと重々しく、ときに爆笑ものの軽やかな動き。

カワイイ。欲しい。

父子もいいけど、主人公(マコノヒー)と箱との絆もいいよ!

あと、マコノヒーとアン・ハサウェイって、その組み合せ濃いよ。(褒めてる)

こんな濃くて暑苦しい宇宙船嫌である。





●天才スピヴェット



なんだかんだ言ってもティム・バートンより、ウェス・アンダーソンより、

実は私、ジャン=ピエール・ジュネのつくる絵が好きなんですねー。

さらに欲を言えば、マルク・キャロとのコンビが大好きなんだけど、

(よりグロテスクになるんで…)仲直りしないかなー。って女々しく思ってる。

この映画は私にしては珍しく3Dオススメです。

あーそういう3Dの使い方あるんだね。っていう、飛び出す絵本的世界。

あとなにはともあれ、スピヴェット君が可愛すぎまする…。

可愛すぎるサイズ感と、可愛すぎるお顔。

多分これ、ロードムービーだと思います。

子供のロードムービー、なにそれ鉄板。

あと老人のロードムービーも割と鉄板ですけどね。


で、ジュネといえばドミニク・ピノンの変な顔が見どころなんですけど、

なんかねー、今回すっごく消化不良。

いる?それ?みたいな役だった上に、あんまり変な顔じゃないのー!

そこはね、すっごく不満。



●6才のボクが大人になるまで



6歳の男の子が大人になるまでの映画(真顔)。

それが映画として…じゃないな、役者としてどうなのか?というのはあるけど

特筆すべきは本当に一人の男の子が6歳から、18歳か?になるまでの間に

時を一緒に経ながら撮っていってるのね。

もちろん父役のイーサン・ホークも母役のパトリシア・アークエットも。

でね、この映画がすごいと思うのは、

本当の彼の時間と役の彼の時間が平行に流れていることで、

本当の彼と役の彼との境界がときおり見えなくなることではなかろうか。

本当のその歳なりの、なんだろ、ゆらぎ?成長のゆれ?不安定さ?みたいのが

役のものなのか、本当のものなのか判断できない。お姉さんもだね。

判断できないので別にこれといった事件は起こらないんだけど、

(まあ、それなりに色々あるけど日常の枠は出ない)

なんか見入ってしまうのね。そういう変な映画。

面白かったです。興味深かったというか。

毎度ですが、こちらのブログがその感覚を上手く書いてくれています。

6才のボクが、大人になるまで。/未来なんて、わからなかったよね


話の感想としては、個人的にお父さんとお母さんが

庭で喧嘩してるのを姉弟で見てるところで泣きすぎた、ワロタ。

あと継父の家の残されたほうの姉弟が気になりすぎる。

この話は人によってぐっとくる所とか全然違う気がする。

どこで一瞬、この家族に感情移入するかが、個人的経験と無関係じゃなさそうだからね。

あとねー、アメリカに根深くマッチョ主義は根付いているし、

それってホント大変だよな…色々な…って思ったよ。



●ドラキュラZERO



わたくし、基本的に吸血鬼もの、魔女ものは見るって決めてるんでっ。

というわけで、ホビットの不憫なお父さんバルド役で最近有名なってきた

ルーク・エヴァンス主演の実在の人物串刺し公ヴラド(ドラキュラのモデルの一人)のお話。

行ったことないんだけどさ、ルーマニアってなんか憧れの土地である。

この鎧とかちょっと中国っぽいよね。すこし東の文化と交流があるのかしらー。

オスマン帝国と闘うため(この辺は史実と一致)に吸血鬼になるっつー話なんだけど、

まああれだね、ルクエバの素敵ボディと吸血鬼ものならではの外連味を味わう映画ですね。

最後ちょっと、現代が出てくるの、良かった。



●100歳の華麗なる冒険



こちらはじいさんのロードムービー兼回顧録。

主人公のじいさんが、非常に特異的な性格だと思います。

ありのままに。である。エルサもびっくり。

なんかもう、全然悩まない。能天気っていうのとは違うんだけど、

なんだろ、世界のこととか、考えないし、

自分の身の回りのことも不幸も試練もあるんだけど別に悩まないのね。

あるがままなの。憎めないといえば憎めない。

バカ…とも違うんだけど、まあ一種のバカか…。

ただ生きてるだけといえば生きてるだけである。

というわけで、すごく素っ頓狂な話なんだけど、すごく淡々と進み、

ばんばん人は死ぬし、爆発するし大騒ぎ…っぽい話なのに

全然大騒ぎじゃないっていう、変な映画でした。

スウェーデンの小説が原作ですが北欧っぽく…もない。多分。



●スガラムルディの魔女



これすげえB級の香りがする!と思って行ったら

寸分の狂いのないB級映画だった。清々しい。

とはいえ、B級で120分は長かったわ…。

これ90分くらいでさくっとの方が良くないかな?

なにしろ、オープニング最高である。

古今東西の魔女(?)の絵や写真がでてくるんだけど、

エリザベス女王とかマリリンモンローとかはいってるよ。大丈夫かw

で、オープニングからー、そうだな、ババアとバーで遭遇するくらいまでは面白い。

あとはね、ちょっとダレるね。話もだいたいヒネリがないので。

あと個人的にエバちゃんの役の女優さんが好みである。

わたしはこういう、男受けしなさそうな女(画像参照)が好きだ。

というわけでエバちゃんには徹底的に魔女をやってほしくもあった。(微ネタバレ)