6月 11 2010

犯罪者の家族という悲劇:
「楽園」と「告白」

おひさしぶりでございます。

ここ何日か年に幾度もない、お仕事週間でございました。

書こう書こうと思ってたブックレビューも、

もう内容をうっすら忘れかかってるよ!ヤバイ!

思い出しながら書いてみるテスト。


たまたま連続で読んだ、この2冊





宮部みゆき氏は何を読んでも面白い。驚きの安定感。

「楽園」は「模倣犯」の続編?というかシリーズぽいんだけど

お話は全然別なので、単独でも大丈夫。

で「告白」の方は本屋大賞→映画化と言う流れでしょうか。

松たか子さんはこの主人公はあってるかもしれない。

中島監督が好みそうなwなかなかファンキーなラスト。映画も見たいな。


あと、これ、どっちも家族から犯罪者が出ると言う悲劇が書かれてるなあと。

あ、もちろん、一面でだけど。それが主題ではないよ。特に「告白」の方は。

どちらも娘、あるいは息子が殺人を犯す。

親は、子供を殺す。あるいは殺そうと、する。

その心の流れは微妙に違うのだけれど、なんだか考えてしまうよね。


人を殺すことがどうしていけないの?っていうことを考えたときに、

死んだ人は戻らないからっていうのはもちろんあるけれど、

もっと大きいのは死んだ人、殺した人という当事者同士以外の周りの人々が

ものすごいダメージをうけるからだと思うのね。

人は必ず誰かと繋がっているから、死んだのが一人でも、

その一人は総数にしたらすごくたくさんの周りの人間との感情を抱えていて、

消えたら、それが全て理不尽に揺さぶられるから。

おきた犯罪それ自体とは、関係ない人間の人生が、どんどん狂う。

それは被害者側の関係者だけじゃなく加害者側の関係者も同じ。

だから殺人て一番罪が重いとされているんだなあってよくわかる。

なんで戦争時に殺人が罪にならないのかも、わかる。ような気がする。


どちらも、「殺されたもの」と「殺したもの」の物語でなく、その関係者の物語ですね。

「告白」は「殺したもの」の物語でもあるけど。

どちらも面白かったけど、「告白」はたしかにインパクトのある作品。

結果、徹底的に救いのない感じが、個人的にはわりと好みですw





5月 24 2010

サマーウォーズのリアル

最近なんだか知らないけどアクティブな休日をすごしております。

タイフェスとか行って人の多さにキレそうになったりしていました。←え?

今週はラオスフェスとか行っちゃったよ!

どんだけフェス好きなのかと。


さて、そんな中ですね、ずっと見たいと思ってたこれ。やっと借りれた。
サマーウォーズ

メディア芸術祭と言うイベントがありまして、

そこで今年(去年か?)アニメーション部門で賞を取ったのがこれと、

マグニチュード8.0。

マグニチュードの方はテレビで見てたけど、こちらは映画で、

評価がとにかく高かったので見ないといかんなと思ってた訳ですが。


いや、おもしろい。この空気すごく、好きかも。

あ、ちなみにわたくしは声優オタでもアニメオタでもないので、

そのへんの知識はほぼないし興味もないので、一介の映画好きの単なる感想ですよ。

監督のこともよく知らないし。ちょっと調べたらジブリ出身てのは分かったけど。


日本の田舎の夏の風景。うざったっくて、でも暖かい家族の風景。

それとサイバー空間でおこる出来事。異なる二つの世界がかかわり合い、もつれあう。

どちらの世界も非常にリアルで、そのリアルはあくまでも

アニメーション的リアルなんだけど、それが心を打つ。

絵がうまいとは思わないんだけど(失礼なw)、いいねえ。

こういう家族の世界が結構若い人(なのかわからんが)にも

「いいねえ」って思われるのならそれはやはり喜ばしいことだとは思う。

現実世界だとそれはそれで面倒は沢山あるけれどね。


親戚が多くて最初ワケが分からないし、名前や関係は最後までよく分からなくても

見ているうちにちゃんと、この人はこういう人っていうのが分かる。

親戚ご一行様のだれも、かすんでない。すごい。

こういうときの女性陣の慌ただしさとか、

家の女と外から来た嫁との微妙な違いとか、男性陣のフリーダムさとか、

最初サイバー空間でアレコレやってるのに女性陣がそろって無関心なところとか、

そういうのがすごくリアルww

あとこの映画で初めて、二次元の婆さんに萌えたw

それと子供と犬が可愛い。

子供が行きはDSに夢中でずーっと離さないとことかもリアルw

サイバー空間の出来事も、決してありえないことじゃない。

セカンドライフをやってたり、ネトゲをやっている人はよくわかるリアルだと思う。

いろんな意味で非常に丁寧に気を使って

現実をアニメに変換している映画だと思いました。

これはDVDを買ってもいいなあー。


あと、今我が家はスカパーをハイビジョンに切り替え中で(W杯に備えて!)

無料視聴期間なのでアホみたいにFOXとAXNと映画みてるんだが、

そこでこないだ何回目かの「ファーゴ」見た。

いやーなんかこれも変な映画だよね。

おもにスティーブ・ブシェーミの顔と、女性刑事の妊婦っぷりがw

だけどこれも、なんだかしみじみと哀れで、おかしくて好きだわあ。

わたしは人間がしみじみ哀れでおかしいのが、よっぽど好きなんだな。

空気の問題として。



5月 17 2010

村上春樹の気味の悪さ 1Q84 Book3

いいお天気が続きますね。

土日のタイフェス@代々木公園は気が狂う程の人の多さでした。


で、本日はこちらの話題。
1Q84-3

・・・今思ったけど、このタイトル、まさかここ炎上したりしないだろうね?(心配性w)

以下、ネガティブ風味注意。村上ファンの方はお怒りになりませんよう。


えーとね、わたしがいつもこの方の作品を読んで思うのは、「気味が悪い」なんだよ。

それはあえていうならおそらく悪い意味だけでもないんだけど。

すごいなんだろう、「違和」とか「異形」を覚えるっていうのか。

ほかにあまり、これほどの気味の悪さを覚える作家は思い当たらない。


いや、いろいろ優れているとは思うしね。

文章とか美しいし、読みやすいし、物語も悪くはないんだよ。

本が売れない昨今、なんでこれがそんなに売れるのかはよくわからないけど、

まあ、面白く(・・面白く?)読めるよ。お話は綺麗に収束するしね。

シチュエーションや、展開に文句がある訳ではないんだよ。

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