4月 6 2012

あれやらこれやら

春めいてまいりました。

お仕事もちょっと落ち着いたり落ち着かなかったり(どっち)したので

合間合間のあれこれを備忘録的に。




最近読んだものでおもろかったもの。

おどろきの節操のなさのにじみ出るラインナップ。


○『パレード』 吉田修一

あー、『悪人』のひとかあ。とか読み始めて気づいたわけですが、

このひと、人の悪意書くの上手いよね。

それもなんていうか、恣意的な悪意じゃなくて、どうしようもない哀しい感じの悪意。

日常の中に紛れ込む悪意。悪意…っていうかなんだろ、澱み?かな。

これも舞台になったり映画になったりしていますよ。

映画も舞台もなんか知らんがやけにキャストが豪華ですが、未見。


○『吉原手引草』 松井今朝子

直木賞とってるんだー。へー。

これね、読んだことがあったっぽい。

てことに最後のオチ(オチっていうか…)のへんで気づいた。

健忘症甚だしい。2回目も面白く読めましたよ(おい)

吉原の風俗がよくわかる構成は、興味ある人にはたまらないねー。

これはでもあまりどぎつかったり、おどろおどろしかったりしない淡々とした吉原。


○『3月のライオン』7巻 羽海野チカ

そしておもむろに漫画。

将棋とかね、知らないんですよ。ルール。

したがって面白いと噂の『月下の棋士』も未読だし、ずっと食わず嫌いしてたんだけど。

うっかり読んでみたらすごいおもしろかったせいで、新刊心待ちにしてた『3月のライオン』。

羽海野先生はさすがよのぅ。キャラがイキイキしてて将棋知らなくても全然読めるー。

新刊は私の好きな二階堂が病欠(?)であんまでてこなかったのが残念だけど、

話の流れ上仕方ないね。

今回一番かっこ良かったのはひなたちゃんの新しい担任の先生。

この漫画はおっさん〜じいさんがかっこええですな。


あとはー、『ヴィンランドサーガ』が農民生活に不穏な雲行きがあったり、

『姉の結婚』の痛々しさのあれこれに苦しくなったりしてました。

文章おかしい。まあいいや。

漫画はあいかわらず大スキ。




なぜか今になってちゃんと見た、『ゴッドファーザー3部作』

あんだけアホみたいに映画を見ていた大学の時に、

「マフィア映画とかww」とか言って食わず嫌いしてしていた自分を殴りたい。

『男たちの挽歌』とか面白かっただろーがっ。


Part1とか私が生まれるより前の映画なんだけど、面白かったわ!

全然古い感じがしない。いや、古いんだけど、物語が色あせてないのかな。

3部作全部見ましたが、1と2がやっぱり面白いね。

マーロン・ブランド/アル・パチーノ/ロバート・デ・ニーロですよ。。

で、密かによく見ている『クリミナル・マインド』にでてくるおっちゃんが

そこそこのチンピラ役とかやっててビビったっていう。




つぎ、美術関係。

あいもかわらず森美術館の会員なんだけど、

去年はあまりいいのをやらなくてしょんもりしており、久々の森美。

相変わらずの予備知識無しでいってみたら、一番はじめに触手系のかぶり物があって

草間弥生かと思いました。ところがどっこい、この人全然おかしくないね。

ものすごく理性的かつ論理的な考察の結果、

できあがりが草間弥生だったりエヴァンゲリオンなだけだった。

嫌いじゃないです。

で、あいかわらず森美はMAMプロジェクトがおもしろいんだよねー。

今回の映像作品(ホー・ツーニェン)もおもしろかったよ。。


その他はルドン。幻想系の絵が好き。蜘蛛とか。目玉とか。

ジャクソン・ポロックもさっさと行かないと、終わってしまいますね。



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10月 26 2010

普遍的な人間のカタチ「悪人」

やべえ、ちょっとお仕事落ち着きましたー(はーと)なんて

言ってたのにもう一月たってる!

何の記事もあげないまま10月が終わってまう!

まあ、落ち着いたと思ったのは一瞬の幻だったんですけど…。

いえ、ありがたい事ですけれど。


そんな合間を縫って今月読んだのはこれ。

悪人文庫

こーんなに地味な装幀(左)が妻夫木くんのせいでこんなこと(右)になってたんで

思わず購入しちゃったんだぜ。


映画化されたのねーと思って、原作を読む場合って映画を見てなくとも

どうしてもキャストが絵になってしまうのだけれど、まあ、これもしかり。

妻夫木君かあ、と思って読みはじめた最初のうちはなんか違うかね?とも思ったけど

(私の中で妻夫木君はやっぱり清潔でまっすぐな都会的な男の子のイメージだからだろうか)

顔はいいけどマジメで話が面白くなくて女性の扱いはうまくないけど床はうまい肉体労働者とか、

だんだん、これ、妻夫木君でもいいかも!と興奮して来たという…。

最初は正直あれだ、山田君のイメージだった。山田 孝之君。なんでだ。白夜行のせいか。


というわけで、まっさらな状態で読んだ訳ではないので感想にしづらいけれど、

これ、読み終わったあとに、「ん、こういうの、どっかで読んだ。」って思ったのよね。

思ったきり、それが何だったかさっぱり思い出せないんだけれど、

ストーリーがというより、全体の雰囲気がすごくどこかで読んだ何かに似ている。

罪を犯した男と、女の逃避行と言う要素の強くなる後半は特に。

なんだろう。すごい気になるけど思い出せないままなのですよ。


誰が本当の悪人か。みたいな帯がかかっているけれど、まあそのとおり、皆が悪人。

特に私の大嫌いなタイプの悪人が増尾だけど、まあ、殺人者の妻夫木君(主人公)も、

被害者の軽さも、ばあちゃんの無知も、一緒に逃げる女の直情も、

被害者のお父さんの鬱屈も、それが「悪」かどうかはともかく「ネガティブ」ではある。

でも同時に、みんな「善」でもある。「善」ももってる。

言ってみれば当たり前の、普遍的な人間のカタチ。

そういう物語でした。


寂しさと愛のお話と言う見方はあるかもしれないけど、私はあまりそちら方面は心うたれず。

だって、寂しさに道を誤るのも、愛におぼれて道を誤るのも、

あまりに当たり前と言えば当たり前なテーマだからね。

あ、でも、この主人公を妻夫木君がやるのならちょっと映画見たいとは思った。

うまくできてたらすごく、興奮できる(その表現はどうかw)気がするのだけど!